ここから生まれます|飛騨の家具工房の話
お店に並んでいる家具は、きれいに整っていて、完成された「もの」として見えますよね。 もちろん”木製”は“木からできている”ことは分かっているけれど、山や森に生えている木と家具が、頭の中でまっすぐ繋がる方は意外と多くない気がします。
でも家具になるまでには、ちゃんと“つくっている場所”があります。 木を伐って丸太にして、丸太を板にして、そこから加工していく…。 その過程には、いろんな人の手が関わって、一枚の板が形になっていきます。
今回は、そんな板づくりの一部を担っている、私たちの工房を少しだけ紹介します。

工房は、目の前に田んぼが広がり、その先に山が続く場所にあります。 作業の合間にふと外を見ると、風で稲が揺れていたり、季節ごとに色が変わっていたりして、「あ、今はこんな時期か」と気づくこともしばしば。
冬の鋭い空気は春になるとやわらぎ、夏は草の匂いがぐっと濃くなり、雪が積もると音が吸い込まれたように静かになる。 同じ場所にいながら、ちゃんと季節が動いているのが分かる、そんな自然に囲まれた工房です。
工房の中に入ると、いろんな木の匂いがします。 削ったばかりの生っぽい香りと、乾いた木の落ち着いた匂いが混ざっていて、土とも少し違う、この場所ならではのにおいです。 作業しているうちに当たり前になっていきますが、外から戻ると「ああ、この匂いだな」と思います。

作業中は機械の音が工房に響き、その中でひとつずつ手を動かしていきます。 同じように見える作業でも、木の状態は毎回少しずつ違うので、その都度様子を見ながら進めています。
一枚の板ができあがるまでには、いくつもの工程があって、その分だけ手をかける時間があります。 普段はあまり見える部分ではありませんが、この工房で工程をひとつずつ重ねながら仕上げています。

この場所でつくっていることを、少し頭の片隅に置いてもらえると、一枚の天板がなんだか愛おしく、“特別な一枚”に感じてもらえるんじゃないかなと思っています。
